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桜井と泡風呂を楽しんだ後、体と髪を乾かし、ホテルを出た。
外は太陽が昇っていて、街がキラキラと輝いて見えた。
「ねぇ、東海林くん」
桜井が手を繋ながら言った。
視線は真っ直ぐ前を見ている。
凛々しい横顔に目が離せなかった。
「萌ね、少年院の先生になりたいんだよね。夢があって大学に来たの。でもさ、みんな"なんとなく"って理由なのが悲しいの…あたしは自分で学費払わないといけないのに………‥理不尽だよね」
言葉が出なかった。
さっきまでの凛々しい表情が悲しそうに歪んだ。
「なぁーんてね」
「へ?」
急におどけたように言うから、俺はポカーンとしてしまった。
「そんな理由でこんな仕事してたら、東海林くんは萌のこと軽蔑しない?」
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