第一章

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先輩は訳わからんって顔してた。 うん、俺も訳わからんなんだよ。 「俺!桜井が好きなんです!だから…桜井の………その、黙っといて下さい!!!!!」 そう大声で叫び、先輩にBVLGARIの財布を渡した。 ワイロのつもりだ。 馬鹿でもいい。 俺が桜井が好きなのバレてもいいから………桜井のことは黙っといてほしかったんだ。 俺が土下座までして頼んだから、先輩は「黙っててくれる」と言った。 先輩の言葉がエコーにみたいに俺の頭ん中で何度も響いて、鼻歌を歌いたくなるほど、嬉しかったんだ。 その日中に、俺、「東海林 響は桜井 萌が好き」と言う噂が広まった。 べ、別にいいさ! 俺は桜井が好きだ!!! と開き直った。
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