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女神は表情を動かさずに滅びの歌を振り撒いた
女神を見た者達は表情を動かせずに消え去った
女神は血の雨と共に飛び去った
女神はもういない
後にあるのは瓦礫と女神に祝福された屍体だけ
「壹番機、先行しすぎるな」
『ん…こ…言うた…よ!キリがあら…ん!』
「わかった。わかったから止まれ」
『こらホーム!まだ本部と連絡つか…か!』
「アンタらとの通信が限界」
『うわっ!山田…鹿野郎!やつらRPG持っと…やね…!』
「ホームより、RPGぐらいでびびんないで。そんな柔な装甲着けてない。墜ちたらアンタの腕が悪いだけだから」
もうぐちゃぐちゃだ。陣形も糞もない。
ヘッドセットのマイクに向かって淡々と喋りながら、ランチャーに対人榴散弾を詰めて淡々と打ち続ける。もう片方の手はレーダーのとかナビゲータとかのデータの送信。
「前田、どうだ?」
車長が振り向く。馬鹿、前向け、って言って前を向かせる。コケたらどうすんだ馬鹿。
『お…、奴ら退きはじ…ぞ!』
『追…か?』
……訊く前に動くな馬鹿!
ここは普通慎重に、
「追え!」
馬鹿!馬鹿野郎!
「待機待機待機!馬鹿車長は無視!ホーム基準のA陣形で待機!動くな!STOP!Don't move!」
「馬鹿とはなんだ馬鹿と「うるせぇ!」「……sorry」
『り、了…。壹番機撤…い』
『貮ば…同じく』
『参番…なじく』
『肆番機わかっ…』
……よし、止まった。
…………あー、喉痛い。
『こ…ら…団本部。各た…。応答せ…。現…の説明を…う』
あ、通じた。
「こちら第伍機甲小隊。本部へ。状況なんぞこっちが知りたいよ」
『ああ…ま田ちゃ…!ダイジョ…?』
「菱田か。ダイジョブ。私含め全員無傷」
……だよね、多分。
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