【アレ】

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声は途切れず続く。 遠いような、近いような。   私は何をしているんだろう? …いや、そうじゃないな。   結局、私は声を追う事にしたのだ。   ならば、今の状態は当然だ。   誰もいない街を歩く。 いや、人はいる。   まぁ…ただ『いる』だけだが。  誰ひとり動かないのだから、この表現は間違ってないだろう。  彼らが動いたところなど、見たことがない。   初めの頃は、声をかけてみたりしたが今は無い。   無意味だと悟ったのかもしれない。     ―*゜~*。~*~♪     声は、どうやら街の中心に向かっているようだった。   あそこには確か、時計台があったな…。  
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