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2つの派閥は、ハッド様を取り合った。
それこそ、戦争のように。
だが、いくらかの年月が過ぎてから、2つの派閥は気づいた。
自分たちが戦う相手は、同じ魔族では無い。
派閥はある契約をした。
『いかなる場合であれど、お互いの許可無しにはハッド様のおられる森に入ってはいけない。』
契約は、魔族にとっては魔王様と同じくらいに絶対である。
ハッド様は幼い頃に、人間との戦争の戦火から逃れるため
魔王様の側近だったセバスチャンと、とある大陸の端の森に避難した。
戦争は終わったが、今もその場所に住み続けていらっしゃる。
だから契約によって、
その森に誰も近寄れなくしたのだ。
そして、ある人物が2つの派閥に命令をした。
「お互いの了承のもと、ハッド様に私の手紙を定期的に届けなさい。」
それは、赤い髪の幼い少女だった。
名前はディナ様。
代々姫を魔王様の妃としている、悪魔族の次期姫…
つまりハッド様の、いわば許嫁である。
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