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ハッド様には、2つの派閥の事を話さなかった。
話してはいけなかったから。
そういう契約だったから。
そんな重大な話だけは、できなかった。
……思えば僕だけが話をしていた気がする…。
僕が魔族のもとへ帰ると、僕は人気者のようになる。
質問攻めにあうのだ。
ハッド様はどうだった?
ハッド様はお元気だったか?
ハッド様はどのように成長なさったか?
全て、ハッド様の事だった。
魔族は皆、ハッド様に会いたいと願っている。
だが、それを実現できるのは僕、たった1人だけなのだ。
だから僕は胸をはって、なぜか得意げになってハッド様の事を話すのだった。
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