プロローグ

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ハッド様には、2つの派閥の事を話さなかった。 話してはいけなかったから。 そういう契約だったから。 そんな重大な話だけは、できなかった。 ……思えば僕だけが話をしていた気がする…。 僕が魔族のもとへ帰ると、僕は人気者のようになる。 質問攻めにあうのだ。 ハッド様はどうだった? ハッド様はお元気だったか? ハッド様はどのように成長なさったか? 全て、ハッド様の事だった。 魔族は皆、ハッド様に会いたいと願っている。 だが、それを実現できるのは僕、たった1人だけなのだ。 だから僕は胸をはって、なぜか得意げになってハッド様の事を話すのだった。
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