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戦火の始まり
しかし、皆の平和への願いもそう長くは続かなかった。
王になって十年もの月日を経た三人は、皆で誓った言葉を次第に忘れていってしまった。
戦で負った深い傷も忘れ去られたかのように、平和だった国にまた深い悲しみを植え付けようとしている者が居た。
場所はナウライグ国にある、白を基準として建てられた豪華な城の一室。そこには白いフカフカの椅子に座ったナウスとナウスの側近二人が両隣に立っている。どちらも美形だが、その美形の男たちに負けず劣らずナウスの顔立ちも整っていた。
「城に籠もっているのにもいい加減飽きてきた」
ふぅとわざとらしく溜め息を吐き、座っている豪華な椅子の背持たれに持たれ掛かると、何かを考え付いたかのように口端を吊り上げた。
「賭けをしようじゃないか、パラウとディアルも参加してな。お前、紙を持って来い。文を書く」
クククッと含み笑いを浮かべ、一番近くの男を指差し命令すると、男はハイッと一言呟きその場から居なくなる。
「これから楽しくなりそうだ」
ナウスはこれから始まる大きなイベントを楽しみにするように微笑を絶やさなかった。
数日後、パラサイス国の城ではいつものように賑やかな朝が来た。食事の準備で大忙しなメイドや執事の他に交替勤務の兵士が入れ代わりに入って来る。
その中に、兵にしては武装していない長い髪を後ろで束ねている若い人物が、城に届いた文を抱えて王の間へと向かっていた。
その人物は王の間へと到着すると扉をノックして言った。
「文を持って来ました」
「おぉ、シュリか。入れ」
中から威勢の良い声が聞こえて来て、シュリと呼ばれた人物はそれを合図に部屋へと入って行った。
「お早ようございます。パラウ様」
「パラウで良いって言っただろう?」
「ですが…国の王様ですし」
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