戦火の始まり

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パラウの言葉にシュリは困ったように苦笑する。 「良いんだよ!王様の言うことが聞けないのか」 「…では、パラウさん」 「…まぁ、今日はその辺で勘弁してやる」 控え目に話すシュリにパラウは肩を竦めて溜め息混じりに呟き、シュリの腕に抱えられている文の山を見て台の上に置くようにと合図する。 「ご苦労」 シュリが文を台の上に置くとパラウはニッと笑みを浮かべて礼を言った。 パラウは文を一枚一枚広げて読んでいたが、文の山の中に一際目立つ文を見付けるとそれを手に取った。 「ナウスか、あいつから文を送って来るなんて珍しいな」 いったい何が書かれてあるものかと文を広げて読み始めた。読むにつれパラウの表情は険しくなり、怒りで手がプルプルと震えていた。 「あいつ、前からイかれてるとは思っていたが、ここまでとはな…」 歯を噛み締めて文を最後まで読んでしまうとクシャッと紙を丸めた。 「ど、どうしたのですか?」 シュリはパラウの怒り様が気になって問い掛けてみると、パラウは顔を上げてシュリを見た後に険しい顔をしたまま言った。 「あいつ、戦をしようなどと持ちかけてきた」 「戦?」 シュリは思わず生唾を飲み込んだ。パラウの表情を見ればただ事で無いことが分かる。 「三ヶ国のどこの国が一番強いか試そうじゃないか。君も平和すぎる世の中に飽き飽きしてきた処だろう?まぁ断っても良いが、その時は、君が臆病者で弱虫だと勝手に解釈するが…とな」 「では、どうするおつもりですか?」 シュリの言葉にパラウはフンっと鼻で笑った。 「奴、イかれてはいるが頭は良い。文にどう綴ったら俺が挑発に乗ってくるか十分承知の様だ」 「では…」 「あぁ、こうまで言われちゃ引き下がるわけにはいかない。プライドと国の名誉にかけて、俺はあいつとの戦に勝つ」
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