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約束
数日後、ナウスからディアル宛てに文が届いた。
ディアルは私室で一人、ナウスの文を読み耽っている。
文にはこう綴られていた。
『今更になって昔の誓いを思い出した。私はどうかしていたのかもしれない。
しかし、お前にも責任があるのだぞ?お前が、アシュリをしっかり見ておかなかったから、お前がアシュリを見つけ出さなかったから。
そんなお前に正直私はイライラしていた。
まぁ、見つからないのは当然だな。アシュリはパラサイス城にずっと居たんだから』
ディアルはそこまで読んで額に青筋を浮かべる。
シュリを探して見つからなかった理由が分かって無償に腹が立ったのだ。
丁度その頃、ディアルに朝食を持って行こうと扉を開けたアズハは見てしまった。
何かに取り付かれたかのようにぼそぼそと独り言を呟きながら、人型の人形に矢を刺しているディアルを…。
「ディアル国王が恐い!!」
その後、アズハが泣きながらリュアとシュリに縋り付いたのは言うまでもない。
ディアルの元に文が届いたのとほぼ同時に、パラウの元にもナウスからの文が届いていた。
パラウは近頃ボーッとする事が多く、前みたいな威勢の良さは欠けらもない。
そんな様子のパラウにラインはハァっと呆れた様子で見ていた。
「恋の病か?」
「そうだな…」
ラインの問い掛けに対し、適当に受け答えをするパラウ。
「どうでも良いけど、ナウス国王から文が届いてるぞ?」
「読む気力もない。朗読しろ」
「了解」
ラインは近くにあるソファーに座り文を広げて読み始めた。
「今回の戦に関してだが、私が戦を持ち出したのは悪いと思っている。まぁ、用件はそれだけじゃないがな」
ラインはわざとナウスの口調を真似て朗読していると、パラウは聞いているのかいないのか分からない様子で、ただ目を瞑って頷いている。
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