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「一番気になっていた事がある。何故お前はアシュリを側近として連れていたのだ?」
「うっ」
パラウはそんな質問に小さく唸り声を上げる。
「まさか、気付かなかったなんて言うつもりか?」
「いやその…。あの頃より大きくなってたし、印象も変わってて…」
続きの言葉に対しパラウは言い訳がましくぼそぼそと小声で呟いた。
「お陰でアシュリをこの手で殺してしまうところだった。お前は私が思っていた以上に馬鹿だったとは思わなかったよ」
「グッ…」
もう何も言い返せなくなり、更に凹んでしまったパラウはゆっくりと立ち上がった。
「今日は具合が悪い。寝室で寝る」
「まだ、続きが」
「もういい、十分に分かった」
パラウはもう聞きたくないとばかりに部屋から出て行ってしまった。
「シュリからの文もあったんだけどな…。ま、あの状態のパラウも面白いし後で良いか」
ラインはパラウが居なくなった部屋で独り言を言うと、ナウスからの文の最後を目で追った。
それは、ディアル宛ての文にも書かれているものだった。
『花も舞散る美しい季節に、私達四人が初めて出会った場所で会おう。今度は敵同士ではなく、友として杯を交わそうではないか。楽しみにしているぞ』
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