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「大げさですよ」
ナウスの言葉にシュリはお世辞と取ったのか、照れ笑いをしつつ言った。
「ディアル。そろそろアシュリを解放して嫁に出す気は無いか?私が貰ってやろう」
「ナっナウス!!」
ナウスの言葉を聞いて、パラウはあからさまに動揺し分かりやすい反応を見せる。それを見たナウスはニヤリと笑みを浮かべてパラウの側に寄るとパラウの耳元に口を近付けた。
「なんだ?お前はアシュリの事が好きなのか?」
ナウスから唐突にそんな事を聞かれ、パラウは顔を真っ赤にして否定する。
「そ、そんな事は」
「そうか、なら私が貰っても文句は無いな」
「いや、その…」
はっきりしないパラウにナウスは少し苛立ちを見せる。
「はっきりしない奴だな。お前が今日ここで告白しなければ、私が手に入れるぞ」
「ま、待て!そんないきなり!」
慌てふためくパラウを余所に、ナウスはシュリに向き直った。
「アシュリ。パラウから話があるそうだ」
「え?」
シュリは様子の可笑しいパラウを見て疑問に思いつつも、パラウがいつ言葉を発しても良いように耳を傾けた。
「あの、だな…。なんていうか、その…今日は良い天気で良かったなぁ」
「違うだろ」
違う事を話始めるパラウに横からかつを入れるナウス。パラウは仕方無しにもう一度告白を試みることにした。
「…あの、だな。話と言うのは…」
「はい?」
「俺は、お前が…。シュリが好きだ。なんて言うか、初めて出会って話しているうちに、何時の間にかお前の事が好きになっていた」
「パラウさん…」
シュリはパラウの告白に、顔を真っ赤に染めた。
「私は…その、パラウさんの事は好きですよ?でも…」
「告白タイム終わり!」
シュリの言葉を途中で止め、ディアルは直ぐ様口をはさんだ。
「アシュ…。君は僕と結婚するって約束してたもんね」
「…え?」
にっこりと微笑むディアルは、そっとシュリを抱き寄せる。
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