悲しき旅立ちの日

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ディアルは大きく深呼吸をして伸びをした。 「たまに此処に来て弓の練習をしてるんだ。練習場なんて狭すぎるからね」 「そうなんだぁ」 シュリは頷きながらディアルを見上げた。 「ちょっと待ってて」 ディアルは弓を地面に降ろすと更に森の奥に歩いて行った。 いったい何をするのだろうかとシュリは心配そうにディアルの行方を眺めていると、シュリが居る場所から辛うじて見える一本の木に、ディアルが何か細工をしており、それが終わるときびすを返して戻って来た。 「何をしてたの?」 「まぁ見てて」 再び地面に降ろした弓を手に取ると矢をセットして弦をゆっくり引いて構える。 弓はキシキシと悲鳴を上げ今にも壊れそうな程にしなり、その直後に右手を離した。 矢は目にも止まらぬ速さで飛んで行き、先程ディアルが細工した木に突き刺さった。 「すごい!」 シュリは驚いた様子でディアルを見上げる。 「まだだよ。来てごらん?」 にっこり微笑んだディアルは、シュリの手を引いて矢の刺さった木まで歩いていく。 「すごい!!」 矢が刺さった部分を見て驚愕した。 予め刃物で罰印が施された部分にジャストで矢が刺さっていたのだ。 ディアルはシュリの反応に満足して、嬉しそうに笑った。 「アシュにも教えてあげるよ」 「本当?」 嬉しそうに目を輝かせるシュリ。 ディアルは先程まで持っていた弓をシュリに渡し、握り方から矢をセットし射つまでの手順を手取り足取り教えた。 教え方が良いのか、はたまたシュリの腕が良いのか、少しのアドバイスで近くの木を射るまでに上達した。 「この調子だと、アシュも僕のようになれるよ」 「本当に?」
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