悲しき旅立ちの日

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シュリは嬉しそうに笑った。 「そろそろ訓練場に行こうか、これ以上遅刻しちゃ怒られそうだ」 「うん!弓ありがとう」 シュリは大きく頷くと持っていた弓をディアルに返す。 ディアルは弓を受け取ると肩に掛け、シュリの手を握ってゆっくり歩き始めた。 「僕も、もうそろそろ兵として戦に出なきゃならなくなる。そうしたら、アシュとも会えなくなるね…」 「うん…」 ディアルの言葉に一気に笑顔を無くすシュリ。 ディアルが家から居なくなるという日が、あと一ヵ月も無い事をシュリは知っていた。知っていたからこそ、毎日笑顔で楽しく過ごそうと考えていたのだ。 しかし、ディアルに改めて言われてしまうと、シュリは胸が苦しくなるような感覚を覚えた。 「淋しいよ…」 シュリはボソリと呟く。目からはポロポロと涙が溢れた。 「ごめん、泣かないで」 ディアルは自分の失言に気が付き、しゃがみ込んでシュリを宥め、指先でシュリの涙を拭う。 「僕も家族と…シュリとずっと一緒に居たい、ずっと守ってあげたい」 ディアルは思わず目が潤みシュリを強く抱き締める。 二人は暫らく抱き締め合ったまま泣いた。 「落ち着いた?」 「うん」 ディアルの問い掛けにシュリは赤い瞳をディアルに向ける。 「今度こそ行かないとね」 ゆっくりと立ち上がると、シュリが追い付くくらいの速さで近道をしつつ練習場に向かって走り始めた。 。 「遅刻しすぎたかな…」 暫らく走ると練習場がある大きな建物が見えて来た。 しかし、少し様子が可笑しい事にディアルは気が付いた。 「なんか、中が騒々しい」 近道をして建物の裏側に出たため、中の様子が伺えず、ディアルは練習場の壁に耳を当てて中の音を聞こうとしていた。 シュリもディアルのただならぬ様子に息を飲んで口を閉じる。
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