悲しき旅立ちの日

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ディアルの問い掛けに、アズハは横たわっている兵士にチラリと視線を向けると、暫し沈黙して頬を掻く。 「んー何ていうか、我武者羅で攻撃仕掛けたら、何時の間にか勝ってたというかなんて言うか」 そうぼやいた後、アズハはニヘッと笑みを浮かべた。 「お姉ちゃんは何処?」 「姉ちゃんなら奧の部屋」 シュリから不意に問い掛けられ、アズハは奧の部屋を指差して答えると、シュリは走って奧の部屋へと向かった。 「お姉ちゃん」 シュリは目的の人物を呼ぶと、壁に寄り掛かって座っていた女性が顔を上げてシュリを見る。 「アシュリちゃん!」 女性がシュリの顔を見ると、嬉しそうに微笑んだ。 女性の名はメリン。アズハの実の姉で、時々シュリの面倒を見てくれる優しい女性だ。 「無事だったのね」 「うん…でも」 メリンのもとに歩み寄ったシュリは、しゃがみ込んでメリンをギュッと抱き締める。 「お母さんが死んじゃった…」 「おばさんが?そんな…」 メリンはシュリの言葉に驚愕する。 「ヤダよ、ヤダよ…。なんでお母さんが死ななきゃいけないの?」 シュリは今まで我慢していた気持ちが溢れだし、涙がボロボロ流れて止まらなくなった。 「アシュリちゃん…」 メリンは瞳を潤ませながらシュリを抱き締める。 「辛かったね…」 そう言いつつ、メリンはシュリの頭を撫でた。 気が付けば、部屋の入り口付近でディアルとアズハが立っており、どう話し掛けたら良いか分からない様子だった。 「今日はここで泊まって行くと良いわ…」 メリンはディアルに向かって小さな声で言うと、ディアルはゆっくり頷いた。
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