悲しき旅立ちの日

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翌日、四人は花を摘みに森へと向かっていた。 人手が足りず母親の遺体を助け出せない代わりに、花だけでも供えたいという四人の気持ちからだ。 向かう途中の道で、女、子供、老人の亡骸が横一列に並べられていた。 おそらく生き残った民が、そのままにしておくのは可愛そうだと気を配ったのだろう。 「悲惨ね…子供や老人まで殺しちゃうなんて」 亡骸から視線を引き剥がしてメリンはボソリと呟く。 メリンの瞳には憎しみの色がチラリと見え隠れした。 「うぅ…」 シュリは亡骸を見てしまい唸り声を出すとガタガタと震え始めた。 シュリと手を繋いでいたディアルはそれに気が付き、シュリの頭を優しく引き寄せて顔を自分の服に埋めさせる。 「シュリ、何も見ちゃいけないよ」 ディアルは静かにシュリに言った。 こんな残酷な出来事は幼い少女にとってはたえられないだろう。 足早にその場を通り過ぎ、森の中へと入って行った。 森の中は静けさに包まれ、生き物が何も居ないのかと思える程だったが、四人はそんな事を気にする様子もなかった。 更に奥に進むと開けた場所に出る。 朝日に照らされてキラキラと輝く湖がいっぱいに広がっていた。 「ここは何も変わってないな」 アズハは伸びをしながら湖に近づいて行く。 この湖は、四人が昔よく遊びに来ていた場所だが、シュリは幼すぎて殆ど覚えていない。 そんなシュリはとても綺麗な光景に目を輝かせて、嬉しそうに湖に向かって駆け寄って行く。 「湖に落ちるなよ!」 アズハはシュリが気が気でなく、湖に落ちないかハラハラしていた。
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