悲しき旅立ちの日

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メリンがシュリに花の首飾りの作り方を教えている間、アズハとディアルは湖の辺に腰を降ろして湖を眺めた。 「ディアル兄ちゃん。国を出てからもアシュリを泣かしちゃダメだぞ」 「そんな事は分かっているよ」 ディアルはさも当然だとばかりに言うと、アズハは満足そうに頷いた。 「アシュリと会えなくなるのは淋しいな…」 「また、会いに来させるさ。必ずね」 それから暫らくして花を沢山摘んだ四人は、湖を離れて家へと帰って行った。 主に花を抱えていたのはシュリだが、その花の中には不器用ながらも繋げていった花の輪がいくつかある。 「お母さん、喜んでくれるかな?」 「あぁ、きっと」 シュリの言葉に微笑を浮かべて頷くディアル。 「シュリは家に帰ってても良いんだよ?無理しないで」 「無理なんてしてない!」 シュリはディアルの言葉にムキになって叫んだ。 「私の手で、お母さんに花を渡したい!だって…って…」 「だって?」 最後の言葉を濁らすシュリだったが、ディアルは言いたいことは言うべきだと考え先を促す。 「だって、私がお母さんを殺しちゃったんだもん!ディア兄はまだ助かるって言って助けようとしてたのに…私は一人になるのが恐いからディア兄引き止めるだけで、私はお母さんを助けようともしなかった……」 花をきつく握り締めながら、溢れる涙も拭かずに勢いでそんな事を口走る。 三人は、シュリの言った言葉に驚きの表情を浮かべて息を飲んだ。 「アシュ…そんな事ずっと思っていたのか?」 ディアルはしゃがんでシュリの両肩を掴むと、不安な表情を浮かべて問い掛ける。 「それは違うよ。お母さんはどっちにしろ助からなかった。アシュが引き止めてくれなければ、僕も死んでいたところだったんだ」
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