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「アシュはお母さんを殺したんじゃない、アシュは僕を助けたんだ。それが、ただの偶然だとしても変わらない事実なんだよ?だから、僕はアシュを守っていきたいと、そう思ったんだ」
「ディア兄…」
シュリは涙で潤んだ瞳をディアルに向けた。
「お母さんが待ってるよ、早く花を届けに行こう」
ディアルはにっこり微笑むとシュリもぎこちなくだが小さく笑う。
自分の考えが間違っているのだとディアルに言われ少し安心したのだ。
「お母さん、お墓に入れてあげられなくてごめんね」
シュリは小さく呟き、崩壊した家の前にしゃがむとソッと花の輪と花の束を置いた。
皆もしゃがんで目を瞑って、母親が安らかに眠れるようにと心の中で祈った。
暫らく時間が経ち、シュリは目を開けて立ち上がる。
そして、アズハとメリンの前に歩み寄ると、まだ手に余っていた花の輪をメリンとアズハの首に掛けてあげた。
「また、会いに帰るからね」
シュリはニコやかに笑って言うと、メリンとアズハは目を潤ませた。
「必ず帰って来るんだぞ!」
「待ってるね」
二人はシュリをギュッと抱き締めた。
二人に抱き締められたシュリは、少し窮屈だったが、それでも二人の言葉と行為が嬉しかった。
メリンとアズハは名残惜しそうにシュリからゆっくり離れ立ち上がる。
「行ってきます」
シュリは小さく手を振ってディアルのもとに歩み寄りディアルの手を握った。
「行ってくる」
ディアルもシュリを真似て二人に挨拶を交わした。
「「行ってらっしゃい!」」
メリンとアズハは元気良く言って手を振る。
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