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「行こうか…アシュ」
「うん」
シュリとディアルは笑顔を交わすと、もう一度二人の方に視線を向けて手を振った。
涙を浮かべて見送っている二人を背に、ディアルとシュリはゆっくりと歩き始めた。
これから先、苦しい事があるだろう。
これから先、さまざまな試練が待ちわびているだろう。
しかし二人にとっては、そんな事どうでも良かった。
ディアルは簡単に兵士を辞めようとしたわけではない。
シュリは簡単に自分の生まれ育った村を離れようとしたわけではない。
二人は固い決意と共に国から出る覚悟を決めたのだ。
だから、二人で居れば何でも乗り越えられる気がした。
何があろうと、二人の兄妹の絆は決して切れることはないだろう。
ずっと、これからも……。
―完―
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