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「相変わらず性格悪いな、ナウス」
パラウはナウスに向かって噛み付くように言うがナウスはそれを聞いて鼻で笑った。
「性格が悪くても馬鹿よりはましだ」
「なっ、それは俺に対して言ってるのか!?」
「他に誰が居ると言うんだ?」
「このっ!」
ナウスに挑発され、額に青筋を浮かべて怒りを露にし、ナウスの元に行って一発殴ってやろうと試み一歩足を踏み出したパラウだが、シュリに腕を掴まれ、それ以上先には進めなかった。
「パラウさん!喧嘩をするために此処に来たのじゃないでしょう?」
「シュリの言う通りだぞ?パラウ。ちょっとは冷静になれ」
シュリの言葉の後にラインが続けて言った。どうやら国王本人よりも、側近二人の方が冷静なようだ。
「おや?そこの可愛らしい少年はお前の側近か?」
ナウスは口に手を当ててパラウの隣に居るシュリをジロリと見るが、ナウスと目が合ったシュリは思わず体を強張らせ視線を余所へと向けた。
パラウはシュリを少年と言ったナウスに対して苦笑するが、格好が格好なだけに勘違いしても仕方がないだろうと心の中でそう思うがあえて否定はしなかった。
「だからどうした」
パラウはシュリを隠すように前へと出るとナウスを睨み付ける。
「シュリとか言ったな。どうだ、私の下に来ないか?こんな親父臭い男と一緒に居ないで」
ナウスはパラウにお構いなしにシュリに話し掛ける。その言葉にシュリだけではなくパラウやラインまでもが驚きの表情を浮かべた。
「親父臭いだと!?シュリ、あんな変態の話は聞くな!行っても良いことは無い!何をされるか分からんぞ!」
パラウはシュリの方を向いてシュリの両肩を掴むと慌てて話を捲くし立てて言った。
「大丈夫ですよ、行ったりしませんから」
シュリはパラウを安心させようと手を振りながら苦笑気味に言うと、パラウはホッとして力が抜けたようにハァっとため息を吐いた。
「変態…ねぇ、まぁ良い、ディアルが来たらさっさと話を始める」
ナウスは変態という言葉が気に食わないらしく、眉をひくひくさせてシュリから目を反らすと腕組みをしてディアルの到着を待った。
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