恋は突然に。

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そうです。 ひとめぼれをしましたが、 その相手の顔も名前も知らないのです。 ただ一つ、知っているのは。 声。 そう、ひとめぼれをしたのは学校帰りのこと。 「明日はロマンティ~ック♪素敵なき~せつ~♪」 川沿いの道に響く声。 音程、歌詞、全て意味不明の歌。 はい、私の歌です。 その日は少し陽気に当てられていたので、つい。 そんな時、向こう岸の方から笑い声が聞こえました。 はい、ひとめぼれをしてしまった彼です。 どうやら私の歌について笑っていたようでした。 少し恥ずかしかったので、歌うのをやめて早足に歩いたのですが、彼からこんな声が聞こえました。 「なんだ?もう歌わないのか?アンコール!それアンコール!それアンコール!……」 最初は凄く恥ずかしかったし、何より口調が少しバカにしているように思えたので立ち去ろうとしました。
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