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彰弥くんと一緒に居られるのは、これで最後だ。
「あ、そういえばプレゼントありがとう。葉子から貰ったよ。」
首につけたネックレスを彰弥くんに見せると、彰弥くんは照れたように笑った。
「つけてくれたんですね。」
「うん。すごい可愛くて気に入ったんだ。毎日つけるよ。」
「それは嬉しいです。ありがとうございます。」
彰弥くんと顔を見合わせて笑った。
そんな些細なことなのに、それだけのことなのに、胸がキュンとして…喉の奥が何かギュウウってなって…痛いけど、でもすごく幸せを感じる。
「絶対に帰ってきてね。私、このネックレスを彰弥くんだと思って、大事にするから。」
「はい。約束します。」
小指を出した彰弥くんの手に、自分の小指を笑って絡ませた。
私より、すごく大きくて、ちょっと冷たい手。
この指も、手も、笑った顔も、全部全部大好き。
彰弥くんの全てが大好きだよ。
あの時、必死になって彰弥くんを追いかけたこと、格好悪くて言えないけど、私は自分で分かってる。
あんなにボロボロになるほど、彰弥くんが大好きで大切な人だってこと。
それをずっと覚えていたら、何があっても誰に邪魔されても、君を待ち続けて想って居られるよ。
彰弥くんは、私よりずっとずっとずっと大人で、優しくて、心強くて、素敵な人。
いつか君に会う時は、少しでも成長して、君の隣りを堂々と笑って歩ける女の子になるから。
それまで、君も待っていてね…―。
――――END――――
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