冒頭//unfortune

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      † 町の大時計を見上げれば、長針と短針が重なりかけている。 早く帰らないと。 彼は帰り道を急ぐ。 彼は何てことはない普通のサラリーマンだ。 妻がいて、息子が一人いる。妻とは職場恋愛だった。 彼は幸せだった。 結婚記念日である今日は仕事を早く終わらせ妻とゆっくりするつもりだった。 右手のバックには一昨日買ったネックレスが入っている。 それが今日に限ってこれだ。 彼は自身不運思った。 『…昨日の、焼死体は件の…』 彼は急ぐ。 だから、街頭のテレビでやっているニュースなんて耳には入らない。 やっとオフィス街を抜けた。今日は急いでるし、近道をしよう。 彼は近道を選んだ。 こっちはオフィス街の脇を通る形になり、居酒屋が多い。 彼はちょっと洒落た居酒屋と有名チェーン店の間の小道を曲がった。
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