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見える歩行者信号は
いつも赤で 退けられた気になる
八月の真ん中
夏が終わってしまう
誰のものでもないのに
ひとりでに終わって
そしていつも退けられて
秋にも届かず
手だけさまよわす わたし
相変わらず信号は 赤いままだ
子供が駆け出していった
手前に大型トラック
青に変わったはずの信号は見えない
いつもこれ
大事なときにわたしはまた
少しも動かない雲に見惚れて
ふと見るとまた 赤
拒絶の赤 に 見えた
届かないわたしと 退ける赤
届かなければ走りだせばいい
まだ気付かないでいたわたしと
本当は赤くない 赤
一人で夏を終わらせるわたしと
いつのまにか変わった 青信号
手を上げて走るはずの わたし
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