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「じゃあまた明日。」
と、お決まりの挨拶を交わし、
コンビニに寄り求人誌を手に入れた。
少し厚めの本だが、
まあ、読むページは限られてる。
家へ進む足が早く感じた。
オートロックのマンションの鍵を照らし、
エレベーターに乗り、重いドアを引く。
「お帰り。」
気持ちなしの挨拶だが、
母親からの応答はある。
「勇希、仕事探しなさい。」
分かってるよ、と出そうな
汚い強い言葉を喉で止めて、
部屋に入り布団に体を乗せた。
「さて。」
自分に言い聞かせるように、
母親の期待を裏切らぬように、
重たい本を手に取った。
目次のようなものがあり、
飲食店、県外住み込みなどある。
ペラペラと軽く捲り続けるページ。
もう残り少ない所まで来た。
そして目に留まった言葉。
“日給2万”や“高時給”と。
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