第一話「決別と出会い」

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「……ずいぶん静かになっちまったもんだなぁ、 この店も。 流夜がいないだけでこんなんになっちまうなんてな」 そう言われ、 マスターが見ている写真掛けに目線を移す。 中に入っている写真に写っているのは、 真新しい制服に身を包み、 笑顔で高校の校舎の前で笑っている流夜と修哉だった。 「マスター、 流夜はもう」 「死んじまっただろうなぁ。 あの監視カメラの映像を見たらそう言わざるをえなくなっちまったさ」 紅 流夜は既にこの世にはいない。 あの日、 あの公園の前で一人の子供を助けようとした流夜がトラックに轢かれる映像が近くの駐車場の監視カメラに鮮明に映っていたのだ。 その事実を知ったのが、 流夜が行方不明になってから半月後。
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