斜陽

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 「本来なら死刑なんだが、当時はこの国が戦争するかしないかの微妙な位置だった。そのまま死刑にしようという側と死刑にせずに戦争の戦力にしようという側の奴等がいた。結局はどちらの意見も採用することになり、お前が目覚めた時に戦争が終わっている、若しくは始まっていないときはそのまま死刑。逆に戦争中に目覚めたら戦争に参加させる。しかも最前線でだ。ここまで言えばわかるだろう、なぁオイ。」  つまり俺は殺されてはおらず、また手荒い真似もされていないということはだ  「今は戦時中、だから目覚めた俺を軍に連れていくということか。」  「察しが早くて助かるなぁオイ。まぁそういうことだ。ここまできて無いとは思うが逃げるなよなぁ、オイ。犯罪者とはいえ大事な戦力の1人だ。みすみす殺すような真似したくはないからな。」  「確かに何処かで筋を通さなきゃならないのはわかる。だが俺にはみに覚えがない。」  「だとしてもだ小僧が殺したことは事実だ。周囲にいながらも運よく殺されなかった奴等もいたからな。そいつらが見てるんだ。言い訳のしようがない」  「………」  「確かに戦争に出れば死ぬかもしれんだろうなぁ。だがな出なければ俺に殺されるんだ。どっちも大した差はないということだ。それにうちの軍に勝利をもたらせば罪が軽くなる、うまくいけば無罪になる可能性もあるだろうなぁ、オイ。俺なら殺されるのをみすみす待つような真似はしないがなぁ。」  「わかった。あんたに乗せられるわけじゃないが。やるだけやってやるさ。それに俺には目的がある。それについての情報もその方が得やすいだろうしな」  なんでこんな知らない場所にいるのかはわからないが、わかるのは殺らなきゃ殺られるってことぐらいだ。だったらやるしかない。それに軍に入った方が情報も掴みやすいはずだ。情報がなければ今の状況を打開することもできないしな。
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