斜陽

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 「それは中途半端な覚悟じゃないだろうなぁ、オイ。焚き付けた俺が言うことじゃないが確りとした覚悟がなきゃ殺られるぞ。運よく殺られなくても精神の方がやられる。そんなところに身を置こうとしてるお前は本当に覚悟ができたのか、なぁ、オイ。」  「どれほどの覚悟が必要なのかはわからない。だが戦場では躊躇ったら終わる。だから何があろうとも躊躇わずに相手を斬る。それぐらいしか俺は考えてない。」  「まぁいいだろう。何にしろ出なきゃ確実に死ぬんだからなぁ、オイ。」  グラシアはちらっと俺の剣を見ると部屋を出ていこうとする  「少し待っていろ。大総長にこのこと話してから、入軍の手続きをしてくる。」  グラシアは背中越しに話しかけてくるとそのまま部屋を出ていった。  「主よ大丈夫じゃったか?」  グラシアが完全にいなくなるのを見計らってから剣が話しかけてきた。  「もちろん大丈夫じゃないさ。」  「じゃろうな。」  軍に入って戦う覚悟は出来ている。だが気が滅入ることに変わりはない。  「ところでさ、戦うことになったんだからこの剣について教えてくれないか?」  正直聞きたいこと、知りたいことは他にもある。しかし知る手がかりは現時点ではない。ならば生き残るために剣について知らなければならない。  「俺がこの剣を持つ前は普通の形をしてたんだが、俺が持った瞬間にこの形状になったんだがなんでなんだ?」  「この剣は特殊でな、普通の剣とは違う。神より賜りし聖剣ということで神剣と言われているのじゃ。神剣は普通のとは違うとひと目で分かるように特殊な形状をしたものが多い。まぁ主の神剣の場合は主が長い間神剣に触っていなかったから神剣だとわからないようにするために剣がとた行動じゃろう。神剣は主(あるじ)以外には使えないと分かっているはずなんじゃがな。全く心配性なやつじゃ。」  口調は呆れたようなものだが、どことなく笑みを含んだものであるように感じた。それよりも、  「今の言い方だとまるで剣が生きているような言い方だな。」
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