斜陽

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 「そんなの当たり前に決まっておるじゃろう。万物は全て生きておる。例えば今座っているソファや壁に掛かっている時計ももちろん生きておる。  神社神道においては八百万の神を信仰しておるが、儂の見解ではこの八百万の神というのはキリスト教などにおける神とは別のものだと思っておる。キリスト教的な言葉で言うならば精霊と表現するのが妥当なとこじゃろう。  まぁこれ以上の説明となると神話や宗教なども説明しなければならなくなるので割愛させてもらうが、とりあえず儂が言いたいのはどんなものも生きておると言うことじゃ。」   「まぁそれは分かったんだがこの神剣もそういう考え方があるから生きていると解釈しているのか?」  「ちと違うな。その考え方は普通の武器までじゃ。実際に神よりもらったわけではないが普通のものとはスペックが違いすぎるのでな、神より賜りし聖剣と呼称されておるわけなのだが、これは実際に生きておる。自分で動いたりは出来んが話すことはできる。時には主に強制力を働かせることもある。」  「強制力?」  「そうじゃ。まぁそれは後で話すとして。ここまではわかったであろうな?長々と説明したが要はこの剣が生きておるということ。このことをよう覚えておくことじゃ。」  普通の説明だったが最後の一言だけはどこか警告じみて聞こえてきた。  「そして次じゃが、これは主の命にも関わることじゃ。努々(ゆめゆめ)忘れるでないぞ。」  今度は普通の説明口調に戻ったがそれでも口を挟んでいいような状況ではないと感じた。もし口を挟もうものなら一瞬で切り捨てられるようなそんな感覚を。
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