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「そのとおりだ。いくら神剣があるからといっても自分の技量まで上がるわけじゃない。だから不安になるんだよ。本当に戦えるのかとかな。」
どこをどうなってここにいるかはわからない。でも皆のとこに早く帰らないといけないし、早く帰りたい。だからこそ死んでしまうわけにはいかない。
「言ってなかったかの?神剣の所持者は神剣の力で身体能力が飛躍的に上がるのじゃ。正直なところ、神剣所持者とはそれと同質の相手でなければ―――つまりは神剣所持者でなければ大抵は相手にすらならん。だからそれ以外のものへの警戒はあまり必要はない。強いて言うならば背後からの奇襲程度じゃな。」
俺の不安がなんでもないことのように言ってくる。ただの、と真剣な口調で断るように言葉を紡ぐと、
「主は神剣に目覚めてから日が浅い。いくら高位の神剣の所持者でも下手を打つと負けることは充分に考えられる。だから油断はするでないぞ。」
そう言ってきた。油断するということはまずない。やらなきゃやられるということを理解しているから。ただ、いざ戦場に行くとどうなるかはわからない。それでも今の時点ではそういったことはないといえる。
「実際にはどうなるかはやってみなければわからぬが、これならばおそらくは大丈夫じゃろう。」
俺の顔を見て安心したのか声は穏やかそうに聞こえる。俺も大丈夫だと思いたいところだ。
「ホレ、さっさと寝ることじゃ。戦が終わるまではゆっくり出来ぬからの。」
「わかってるさ。そうする。」
俺は持っていた神剣を窓際に立て掛けると、電気を消してベッドに潜り込む。
「おやすみ。」
そう声をかけるとゆっくりと目を閉じた。
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