暗雲

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 「そしてハマル王国の隣国にあたるのがアルデバラン共和国、プロプス共和国。この3国は同盟を結んでいるため、我々がハマル王国を落とせば必然的にこの2国との戦となっていくでしょう。  幸い我が国はハマル王国としか隣接していないので2ヶ所同時に攻められることはまずないと言えます。ですがこの3国を落とすまでは油断はできないです。」  沙月さんの話を聞きながらも説明を忘れないために軽く紙に書いておく。しかし何度も見ないと覚えられそうにない気がする。  「中尉。無理をして覚える必要はありません。私が覚えていますので遠慮なく聞いていただければ構いませんから。」  俺の気だるそうな雰囲気を沙月さんは読み取ったみたいだ。正直この沙月さんの申し出はありがたい。  「ありがとう。だけどいきなりとはいえ俺は隊長だからできるだけ覚えておきたいんだ。沙月さんに負担はかけられないからさ。」  本当にありがたいのだが、沙月さんには迷惑をかけっぱなしだからこれ以上迷惑をかけたくない。なによりも自分自身のためにもこれぐらいは覚えておかなければならない。  「そうですか。ですがわからないことがあればなんでもおっしゃってくださいね。」  そう言って軽く微笑んだあと、すぐに表情を引き締めた。  「では続けますね。アルデバラン共和国の南東に位置する比較的小さい国がアクベンス王国。この国は周囲をアセルスやアウストラリスといった山脈に囲まれています。一応楽に侵攻できるルートもありますが、それは1ヶ所しかないため防衛線は厳しく張られているでしょう。逆にそれ以外のルートは防衛線は緩めでしょうが、山を登っていくことになるためあまりお薦めはできません。先ほども言いましたがあまり大きな国ではないこと、そして我が国にあまり近くないことから考慮すると後にまわした方がよいと思われます。」
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