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「彼方から攻めてくるという可能性はないんですか?」
いくら天然の要塞に囲まれているといっても、圧倒的な物量で攻められればどうなるかはわからない。ならばそうなる前に他国を落とそうと考えないとは思えない。
「ないわけではないですが可能性は限りなく低いでしょう。軍の情報部によると、その防衛力の高さを過信しているようであまり戦力は増強していないようです。他国もおそらく同じような見解でしょうから我々のようにあと回しにするでしょう。」
「わかりました。すみません口を挟んでしまって。続けてください。」
「お気になさらずに。疑問があれば遠慮なく聞いてください。その方が早く覚えられると思いますので。」
相変わらず沙月さんは礼儀正しいなと思いながら耳を傾ける。
「アクベンス王国の南一帯に広がる湿地を領土に持つのがレグルス帝国。特にゾスマ大湿原、アルテルフ大湿原は霧深いことで有名で年に何十人も行方不明者がでる場所です。
そしてその隣国に位置するスピカ帝国。ちょうどレグルス帝国との領土の境界線上にヴンデミアトリクス山があるので、その東がレグルス帝国、西がスピカ帝国の領土と決められています。
スピカ帝国はシュルマー瀑布が見所で、世界一の大きさを誇ります。なおレグルス帝国ならびにスピカ帝国はこの世界で1、2を争う軍事力を持ちます。なので我々としてはどちらか一方が残るまで静観を決めこむのが良策と思われます。」
必ず戦わないといけないわけだが、それでもそんな強国とは進んで戦いたくはない。
「そういえばうちの国はどれぐらいの強さなんですか?」
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。と昔のオッサンは言っていた。やはり自分たちの力量は知っておくべきだろう。
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