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「とはいえ今の戦力でこの戦争に本当に勝てるんですかねぇ。」
「絶対に勝てるとは言わないが、十分に勝算はある。」
「ならいいんですが。しかし皮肉なもんだ。昔からの伝承とはいえ神剣を手に入れるために戦争を行うなんてことは、なぁオイ。」
「“世界の中心にありし永遠神剣を手に入れし者、この世界を統一し、平和に導くだろう”…か。平和になるために戦争を行うなんてことは確かに皮肉だな。だが伝承ではあるがそれ故に意味があったのだろう。」
「対立する意見がかち合えば、戦って決めるしかないからなぁ、オイ。」
両者とも一息つくとテーブルに置いてあるティーカップを手に取る。先ほど侍女が煎れてきたものだ。
「ともあれ、我が国は他国に比べて神剣保持者は少ない。うまく立ち回らなければな。」
「そうだなぁ、オイ。…そういえば所用があるんだが、悪いが出てきてかまわないか?軍法会議までには戻る。」
「それが頭に入ってるなら好きにすればいい。私より年長者なのだから。」
「ではそうさせてもらう。」
グラシアはお茶を飲み干すとソファから立ち上がった。部屋の外に繋がるドアの前で儀式的に一礼すると出ていった。
「永遠神剣か…。アレは誰を選ぶ。それとも誰を選ばされる。」
彼は一度窓の外に視線を移した後、温くなったお茶を飲み干した
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