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「依頼主は第一等権利保持区のアイレスト=ハイエス。依頼内容は依頼主から直接聞け。報酬は依頼受注から達成までの期間の衣食住全ての保障、そして達成時には第二等権利区の居住権利と1億G(ギル)…以上だ」
「クライスさん…何から何まで狂ってますよ?」
サラは最初から最後まで自分の聞き間違いなのではないかと耳を疑った。聞き慣れない言葉が散弾銃のように飛ばされて、サラは戸惑っていた。
頭の中だけではとても整理しきれないので、サラは言葉を使う。
「えー…。一等権利区って貴族街ですよね?そこの連中が見捨てられた庭のあたしに依頼を?しかも直接?しかも何ですかその破格の報酬は…。
貴族街の連中はあたしらみたいな異端者集団邪魔者処理の“危険屋”なんて虫けら程度にしか見てないってのに…あり得な過ぎ過ぎ過ぎますよ!
それに依頼が終わったら第二権利区?見捨てられた庭の人間が二つしかない権利区に入るなんて、異例過ぎですよ。
そして最後の一億なんて…今のご時世、第二区みたいな平民区なら赤ちゃんの頃から一生遊んでもお釣りが来やがりますよ?」
サラは決壊したダムのように一気に疑問の波を発生させた。疑問の波が全部流れ出た頃には頭の中が空っぽになって、だらしなく口をぽかんと開けていた。
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