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「……!今…月がおかしかったような…。」
自室で夕食を食べながら外を見ていた明菜は雅人と同じく、月の異常な姿を目撃した。
「……本当、何の予兆なんだか……。」
呟きをこぼしながら、食べ終わった夕食の片付けを始める明菜。
「まさか……そんなことはありえないだろうけど……。」
「……ありえないというのは、あっちの世界じゃ通じないか。でも……何で今頃になって?」
いつの間にか片付けを終えた明菜は寝室へと向かう。
そこで小さなテーブルの上に置いてある写真に手を伸ばす。
「みんながいたらこんなに不安にならないのに……。」
明菜の見ている写真には、同年代の男女が楽しそうに笑っている姿が写っていた。
「達也、海人、淳、理沙、巴……何が起こっているの?」
返ってくるはずもない写真に向かって、不安を訴える。
そこにいる明菜は、普段では絶対に見せることのない明菜がいた。
「……何やってんだろ。」
しかし、次の瞬間にはいつも通りに戻り、ベッドに倒れ込んだ。
「過去の遺影にすがるなんて……ホント何やってんだろ。」
そこで言葉を切り、意識を手放した。
不安を抱きながら、また、明日もまた同じような日々が訪れると信じながら。
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