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「………………」
静まり返った放課後の廊下を無言で歩いて行く明菜は今朝で何度見たかもわからない夢について考えていた。
初めてあの夢を見たのは、今から1年前の明菜が高校2年の時だった。
最初はただの夢だと思い込んでいたが、そこからちょくちょくと同じ夢を続けて見るので、さすがに何かの予兆だと思い初めていたのだ。
「……[幻視]?」
「そんなわけない……[幻視]なわけがない。」
自問自答とその否定を繰り返すことで、薄々気づいているかもしれない…しかもそれが事実かもしれないということを必死に否定しているようにも見えた。
「…でも、何かが起こりそうな気がしてならない。もしかしたらあの夢の声の主は本当に達也かもしれない。もし、あの夢の声が達也のものなら……。」
明菜はそこで言葉を切り、考えるのをやめる。
そして再び言葉を発する。
「…やめよう。そんなことがあるわけがない。[あれ]は羽美村でしか起こりえないこと……それにいくら達也が夢の声の主でも、達也はあっちに残ったんだからこの世界に戻って来られるわけがない。」
あとに、考えすぎたと付け加え、歩く速度をあげるのだった。
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