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「…。」
「美優、これって…。」
「…うん。昔、おばあちゃんにもらった人形だよ…。間違いない。裏に“あまのみゆ”って、名前が書いてあるし。」
美優は、信じられないとでも言うような顔で、その人形を見つめていた。
「そういえば美優って、昔 この紅葉町に住んでたんだよね?」
「うん…。確か、引っ越す直前に、おばあちゃんからもらった大切な人形をなくしちゃって…。なんで今さらこれが出てきたのかわからないけど、すっごく嬉しいよっ。」
…美優は満面の笑みで皆に語っていたが、皆は納得できなかった。
声がしていた場所からこの人形が出てきたって事は…何かが憑いてる可能性が高かったから。
そんな事も知らない美優は、嬉しそうに人形を抱えていたのだった。
(ゆーちゃん…やばくないですか…?)
(ああ…。私もそう思った。…どうする?あの幽霊、もう一度呼ぶか?)
(呼ぶって言っても、もう成仏しちゃったんじゃ…。)
「呼んだか?」
「のぅあぁっ!?」
…3人とも、跳び上がる程に驚いた。
そりゃそうだ。いきなり、仮にも幽霊が現れたのだから。
「…あれ?みーたんには見えてないのですか?」
「何がー?」
「ああ、あの者は私が霊感をなくしたからな。見えてなくて当然だ。」
「な…なるほど…。」
「それより、どうした?」
「…美優が持ってる人形に、何か憑いてない?」
「ん…?あー。憑いてるな…あれはつくも神の一種だ。…そうとう、たち悪いぞ?」
「…さっき、何もお願いできなかった代わりです。あのつくも神さんから、みーちゃんを守って下さい。」
千里達は必死に、幽霊にお願いをした。
「…わかった。私が後はなんとかやっておくから、あの者を頼む。それに、お前らはそろそろ帰らねばならないだろ?」
「あ…。集合時間までもう10分きってるよ!!」
「美優!皆!行くよ!!」
「ま…待ってって!!」
4人は一斉に走りだし、階段をすごい勢いで降りていった。
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