最後の日が…

4/13
前へ
/13ページ
次へ
ご飯を口にいれながら、美優はふと疑問に思った事を聞いてみた。 「そういやさ、今日はこれからどこに行くんだっけ?」 「えー…っとですね、まずはお城に行って記念撮影をします。それからは班行動になりますので、自由時間になりますよ。」 千里はすかさず、「修学旅行のしおり」を取り出して美優に教えた。 「千里ちゃん、ありがとっ。」 「か…かか、みーたん可愛いです…。」 「ふぁ…。」 幼い顔でニコッと微笑んだ美優は、傍から見ると小学生くらいにしか見えない。 それゆえに、母性本能をくすぐられるのか美優を愛でる女子は少なくない。…千里もそのうちの一人だった。 「いい子いい子~ですっ。みーたん、髪の毛サラサラだぁ…。」 「…。」 …それを面白くないような顔で見ていたのは日向だった。 自分の気をはらすためか、しばらくすると納豆を掻き混ぜながら日向が口を開いた。 「そういやさ、これから行くお城に、幽霊が出るんだって。」 「いや…城だし、幽霊くらいいるだろ。」 呆れぎみに有希が言った。 「いやそれがね、なんかすごくたちの悪いやつらしくてさ…。私ら、集合写真をお城の前で撮るじゃん?だから、写ってるんじゃないかなって。」 「んー。でも、それだと私達が行ったその日にはわからないですよね?幽霊さんが本当にいたかどうか。」 「まあね。集合写真が出来上がるのは結構遅いし。」 「…じゃあ、どうやって幽霊がいるかどうか知るの?」 美優はしょうゆに「んーっ」と手を伸ばしながら聞いた。 傍から見ると、本当に子供みたいだ。 「…はい。」 さっきまで納豆を掻き混ぜていた日向がしょうゆを差し出した。 「ひなたん…ありがとうっ。」 「あぅ…。」 嫌味のこもってない純粋な笑顔でお礼を言われた日向は、何を思ってか赤面した。 「…ひなたん…。私が“ひなたん”って呼ぶと嫌がる癖に…。」 「…っさい!千里は黙ってて。」 日向は赤面しながらご飯の続きをし始めた。 「…で、どうやって幽霊がいるかどうか調べるの?何か方法でもある訳?」 空気になりつつあった有希が、黙々とご飯を食べながら聞いてきた。 「噂によると、天守閣の辺りに出るらしいよ?願いを叶えてくれる、神様みたいな存在なんだって。」 (…たちが悪いから邪険にされてるんじゃないのかよ。) そんなふうに、皆は内心思っていた。 「んー。よくわからないですけど、その“お願い”って、なんでも良いんですか?」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加