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集合時間も段々と迫ってきていたので、4人は急ぎ足で天守閣に向かう事にした。
…そして、ようやく着いたのであった。
「…展望台になってるんだ…。」
「すごいですね…。」
「ああ…。」
「…てか、結局幽霊の件って、どうすんだよ…。」
有希がそういうと、皆は気づいたように「あっ」と声をあげた。
「…何も、出てきませんね…。」
「だね。静かだよね。」
「うん…。」
「…。」
皆が話してる際、美優だけは黙っていた。
「ワ…ヲ…サ…テ…。」
「…皆、聞こえてないの?」
「「何がー?」」
「…さっきから声が聞こえてる。」
「「…ッ。」」
皆はまさかと思い、息を飲んだ。
「ワタシヲ…サ…ガ…シテ…。」
「…本当だ…。」
「い…いるのですかね…。このフロアに…。」
千里は人一倍、びくびくしながら日向の制服のすそをぎゅっと掴んだ。
「…とにかく、探してみよう!!」
美優はいつになく真剣な表情で言った。
「…探すって言っても、どうやって?もう、時間ないよ?」
「…夢の中から、同じ声がしたの。多分、私に言ってるんだと思う。」
「美優に?」
「うん。だから、探してあげよ?噂のヒント、見つかるかもしれないしさ。」
「…そうだね。何か、わかるかもしれないしさ。」
「そうですね。ひなたん、みーたん。…怖いですけど、私頑張ります!!」
千里も、相変わらず日向の制服のすそを掴んだままで、意気込んだ。
「…ったく、時間ないんだから さっさと探そうか。その幽霊さん。」
最後に有希も賛成して、美優達は残された時間の中で、今いるフロアをくまなく探した。
…数分後。
「…いないね。」
「もう、どこかに行っちゃったんですかね?」
「…それはそれで、心臓に負担がかからないから良いけどね。」
「ひなたんも怖いのですか~?」
千里はからかうような口調で日向に言った。
「な…ッ!!べ…別に、怖くなんか…。」
「…しっ!静かにして。」
「ワタシハ…ココ…ニ…イル…。」
「「…ッ!」」
「今の、聞こえましたよね…?」
「うん。…あそこからだった。」
美優が指を差したのは、扉がついている収納スペースみたいなところだった。
「こ…ここに、いるの…ですかね?」
「あ…ああ…。そうなんじゃないかな…。」
「…開けてみようか。」
「待って。…私が開ける。」
「え?有希?」
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