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「だから!これはこういう風にするんだよって何回も言ったよね?」
社内に響いた声の方に目をやると俺より一つ年下の葛西が新人に何かを怒鳴っている。
怒鳴られているのは…確かに高倉だったっけ?
新入社員とあまり接点がない俺には名前と顔を覚えるのがいささか難しい。
そんな光景を横目に再び書類に目を落とした時、プライベート用の携帯がなる。
着信 03********
知らない番号だ。
しかし市外局番が03で始まっていると言うことは都内の誰かからの連絡であろう。
まさか、間違えて顧客にプライベート用の携帯番号を教えてしまったのかもしれない。
まず、ありえないのだが、もしもに備えて俺は仕事口調で電話にでる。
「お電話ありがとうございます。わたくし株式会社さくら印刷所の松山でございます。」
そう言って相手の反応を待つ。
が、
「………………」
ボソボソと何か呟く声が聞こえる。
しかし、聞き取れない。
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