空と青年

ソラ

仁史は丘の上まで来ると、いつものように折りたたみ式のイーゼルを取り出し、柔らかな草が生える土の上に組み立てた。
土の上は平らな屋内の床などとは違い、イーゼルが不安定になってしまうので注意が必要だ。絵筆を走らせている途中でいきなり倒れられたのでは困る。
仁史は慎重にイーゼルの安定の具合を確かめた。
イーゼルが安定したのを確認すると、今度はキャンバスを取り出し、乗せた。
これで準備はあらかた終わり。
最後に取っ手のついた木製の小さな鞄のようなものから、やはりこれも折りたたみ式の、パレットを手に取り、広げた。
鞄には丁寧に整頓された画材が入っていた。