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桜がひらひらと風に舞い、春の季節を報せています。
俺がスゥと空気を吸い込むと、何だか春の匂いがしました。
あれですね。春の匂いって凄まじいものですね?何だか気分が悪いです。
「おい、黎斗!何お前トイレで深呼吸してんだ。馬鹿なの?死ぬの?」
そうでした。ここは3階で2年生の為の男子トイレでした。トイレのクセに窓の近くには桜。生意気です。
「ぐるきゅふふっ」
「黙れ腐れ外道!!」
ブゥオン
「ゲヒャッ!」
俺は奇妙な笑い声を上げ、腹を抱えている尺取り虫という名の親友をトイレの便器に立て掛けてあった便所タワシで成敗してやった。
後悔も罪悪感も一切なく、代わりに得たのは何かしらの高揚感…………俺ってSなんだ。
自分の先天属性がSだと分かった俺は、白目を剥いて気絶している尺取り虫の後ろポケットから財布を抜き取って、トイレを後にした。
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