K.Jの場合

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(Side k.J) 俺は、いつも一緒に居たあいつらと過ごす時間が好きだった。 何気ない会話をするのが好きだった…テニスをするのが好きだった。 なのにその時間はいとも容易く壊された。 姫神 里菜という一人の女によって。 彼女はとても綺麗で、ともすれば一発で恋に落ちてしまいそうになる。 …いや、一発で落ちるんだ。落ちなきゃいけない気になる。 だから幸村も真田も柳もブン太も仁王も柳生も赤也も、皆 彼女に惚れた。 するとどうだ、彼等はなによりも姫神を優先するようになった。 部活中だろうがなんだろうが、姫神が呼べば馳せ参じ、姫神が怪我をすれば群がり全員で治療するようになった。 …姫神を罵倒する人間を、リンチするようになった。 …気持ち悪い。 全てが気持ち悪い。 甘い甘い匂いを漂わせながらすりよってくる姫神も、姫神にかまってテニスをしなくなったあいつらも…全部全部全部全部…気持ち悪い。 だから俺はあいつらから離れた だから俺はあいつらが嫌いになった だから俺は…テニスをやめた。 .
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