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「ね、南波きいたぁ?ジャッカルくん、テニス部やめたんだよ!」
「…は?うそ、まじ…?」
「マジマジの大マジだよぉ、他のレギュラーと大喧嘩した末の退部。
…彼、姫神さんの事罵倒したんだぁ」
ジャッカル桑原がテニス部をやめた、そんな噂(…いやむしろ事実なんだけど。)が流れたのは姫神里菜が転校してきてから三週間後、つまりは昼飯in屋上から一週間後の話。
なんでも彼はレギュラーの姫神里菜に対する過保護さや周りへの配慮の欠如、そしてなによりテニスへの執着の消失についてレギュラーに訴えたそうだ。
しかしその訴えも、姫神里菜に対する罵倒と取られあえなく反撃をくらい、退部。
「…はぁん、なるへそねぇ
…で、蜜柑ちゃんはなんでわたしにそれを伝えに来たのかなぁ?」
「ジャッカルくんを励まそうの会!
南波は聞き上手の話し上手だからねぇ、悩み相談を受ける特攻隊長に任命されましたぁ」
「わーうれしくないわぁー」
「アハッ!喜んでもらえてよかったぁーじゃあ、今すぐ行ってねぇー」
「…蜜柑ちゃんってやっぱ強いわよね…敵に回したくない人ナンバーワンだわ。」
「んふ。そんなに褒めてもだめだよぉ」
「褒めてねっつの……ハァ…」
******
「……」中庭、そこに彼はいた。
今は4時少し過ぎで、本来ならば今彼はテニス部に行ってるはずなんだけど。
そんな事を思いながら小さく溜息を吐いて、下を向いてうなだれている彼にゆっくりと近づいていく。
「…だれだ?」
地面に敷かれた人工芝を踏み締めながら彼…ジャッカルくんの前に立つと、彼は目線をわたしに合わし、そしてびっくりしたような顔をした。
そりゃまぁそうだろうね…だってわたしぴか●うのお面つけてるし。顔バレいくない。
「ジャッカルくんを慰めようの会、特攻隊長でーす。」
「…は?」
「ひじょーに不本意ながら、アンタのこと励ましてこいって言われたのよ。
……目の前に欲しかったモンぶら下げられたら従っちゃうのが人間ってやつでねぇ…好きなバンドのライブチケットと引き換えの善意でございまする。
…っちゅーわけで、さくさく不満を吐き出しなさいな。聞くだけ聞いてやんよ」
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