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詩織ちゃんがお祝いの残り物のおかずを食べ箸が進まなくなってきたころ、アンナちゃんが帰ってきた。「詩織さん、そろそろよろしいでしょうか。」と北林美月がお伺いをたてた。「えっ?、まだ無理よ、だって支度に時間がかかるし…」詩織ちゃんはジュースに手を伸ばしたが、その手をテーブルにつき、ゆっくりと引っ込めた。それから立ち上がり居間を出ようとして立ち止まり振り向いて、「あっ、ママ、クレンジング貸して」と声をかけた。「あ、はいはい」と言いつつ美樹子さんは立ち上がり、二人で部屋を出ていった。「…クレンジングは後でもいいんじゃ…」と美月さんがつぶやくと、「あれ?、クレンジングは今使うのよ。」とアンナちゃんが答えた。「えっ、どうして?」「えっ、どうしてって、一度メイクを落とさなきゃお化粧が変になっちゃうから…」「え~、詩織ちゃんメイクしてたの?全然わからなかった。」「お姉はメイクがうまい、というかへたというか、…巫女舞のお化粧も時間がかかると思うわ、昨日も一時間ぐらいやってたし、…少しでも気に入らないところがあるとやり直すから、クレンジングもすぐ終わっちゃうのよね~」
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