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その後すこし経って詩織ちゃんが入ってきた。紺色の丈が長く大きな羽織をマントのように着て、その下に白い襞(ひだ)のない袴が見える。そして手に紙袋を持っている。詩織ちゃんは「行きましょうか。」と美月さんに声をかけた。美月さんは「はい、よろしくお願いします。」と答え、バッグを手に立ち上がった。詩織ちゃん、美月さん、アンナちゃん、美樹子さんの順で、一列になることはなく神社へと向かった。神社の脇の階段を上ると、二人のアルバイト巫女さんが、私服に着替えて待っていた。髪の長いほうはチノのスカートに白系のブラウス、髪の短いほうはデニムに緑系のチュニックだった。すでに参拝客も相撲大会の関係者も客もいなくなっていた。詩織ちゃんに対して「プレーヤー用意しといたよ」と一声かけながら、アルバイト巫女さんが紙袋を渡した。「ありがとう。」「あの、牧野さんは?」と美月さんがアルバイト巫女さんに質問すると、「もう帰りました。用があるみたいです。」と髪の長いほうが答えた。社務所から拝殿の端にある舞台にみんなで移動し、詩織ちゃんとアンナちゃんと美樹子さんは拝殿に上がり巫女舞の用意、美月さんはカメラの用意を始めた。
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