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準備万端整って、アンナちゃんがプレーヤーのスイッチを押し、金属製の打楽器の音、太鼓の音、そして笙の音をベースとして笛の音の旋律が始まり詩織ちゃんがしずしずと舞台中央へと歩きだして舞が始まった。美月さんは、相撲のとき移動して撮影することはなかったが、舞のときは場所も態勢もいろいろと変えながら撮影していた。舞は、素晴らしいの一言に尽きる。アンナちゃんより背は低いが、細身で手足が伸びやかだから、こうして舞台上で見ると大柄な感じがする。だが踊りは非常に繊細で若くして名取になっただけのことはある。もののけが出現したことは、パントマイム的な振りでわかった。芝居心も持っているようだ。この辺からは力強い踊りになってきた。そして、素焼きで作った鎌が折れた踊りになった後、舞台上がオレンジ色になった。柿色のほうが近いだろうか、辺りが夕焼けの色に包まれた。白い狩衣も柿色、詩織ちゃんの日本人形のような白さの頬も柿色に光り輝いた。そして詩織ちゃんは逃げまどいながら刀を鞘から抜くと、その刀身にオレンジ色の光が強く反射した。その後、一舞すると急に暗くなった。アルバイト巫女さん二人が太陽のほうを見ると、雲に覆われていた。夕暮れの中では、刀だけが目立った。美月さんはフラッシュを使おうとしたが…撮影自体をやめた。
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