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舞台の端、拝殿の板壁に穴が空いていて、そこに美月さんも作った柳の枝が挿してあった。もののけが死んだ後、二種類の舞があって、ラストは刀で柳の枝を切った態で、柳の枝を手に舞をする。そのとき、また光が射した。しばらくして太陽が山に隠れ暗くなった。そして舞が終わった。美月さんが拍手をした。それからアルバイト巫女さんたちが拍手をし、家族二人も拍手をした。「いつもは舞台からはけて終わるんだけど、こういう終わりかたもありかな。」と髪が短いほうの巫女さんが喋った。「…拍手が始まっちゃったから、もういいのかと思って…」「えっ、すいません。早かったですか。動きが止まったからてっきり終わったのかも、と思って、」「あれは一応黙祷だから…何か動いたほうがいいのかなぁ」詩織ちゃんは柳の枝で自分の頭を軽くはたいた。「よかった。よかったよ~、…観客が少なくても、いい雰囲気だったし~、ごめんなさいね。」と、髪の短いほうの巫女さんが美月さんに対して謝った。「いえ、こう、うまく、舞台が成立したのは詩織ちゃんが凄いからですから、私のわがままに付き合ってくださって本当にありがとうございます。」と、美月さんは深々と頭を下げた。
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