第一章‐陰謀の影‐

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      『お前を待っていたのだが… 見つかると連れ戻されるので、木の中に隠れていたのだ。』    笑って皇子が、此方に体を乗り出すと… 木がぐらりと揺れた。         『うわぁ…っ…皇子!!危ないですよ!!』     張り上げた声に慌てて… 皇子が木の影に隠れる。     『ユマっ…国史の時間を抜けてきたのだ!!!!!…騒ぐな。気付かれてしまうではないか!!!!!』       『…とりあえず…木を降りて下さい。』    俺は、声を潜めて言った。     …清楚で可憐な外見からは、考えられ無い皇子の行動に…     正直…びっくりしていた。       …木から、降りてきた皇子のシルクの真っ白なシャツは、ところどころ泥で汚れていて…   襟元の見事なレースの細工が… 何処かに引っ掛けたのか、解れていた。       その姿は、俺が知っている“王族”とは、かけ離れていて…     その突発的で無防備で、全然気取らない、あの方のお日様のような笑顔に…       俺は“分かりました”…とゆう返事をしてしまったのだ。             あの日から、あの方は…俺の光だった。     あの方に… もしも、何かがあったら…       そう、考えると怖い…。   image=340848537.jpg
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