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本来ならば、始終親と一緒にいたい年頃のはずの二人は、親を戦火で失った。
皇子は‥
戦火で母を亡くした自分と、重ねているのかもしれない。
「僕らに命を大事にして欲しいのなら、どうか‥ご自分を大切にして下さい。
僕らは、貴方が全てです。」
そう言って、笑ったヨフに胸が痛んだ。
前に、ヨフから聞いた事を思い出す…
皇子は、具合が良くなったアイルとヨフを…
二人の記憶を頼りに、母親方の遠い親戚の家まで送って行こうとした事があった…。
ふと、目に入った親子連れを目で追い…
互いに寄りそって、ぎゅっと…手を握りしめた二人を見て…。
そのまま二人を城まで連れて戻ってきたのだ。
『俺も、戦火で母親を亡くした。
俺が今日からお前達の兄だ。
…兄が居れば、寂しくあるまい?』
帰り際言った一言で…
寂しいと思わなくなった事を嬉しそうに、何度も話してくれた。
『…最高の兄様だ。』
ヨフもアイルも皇子を誇りに思っている。
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