第一章‐陰謀の影‐

16/31
前へ
/590ページ
次へ
      本来ならば、始終親と一緒にいたい年頃のはずの二人は、親を戦火で失った。       皇子は‥ 戦火で母を亡くした自分と、重ねているのかもしれない。         「僕らに命を大事にして欲しいのなら、どうか‥ご自分を大切にして下さい。 僕らは、貴方が全てです。」         そう言って、笑ったヨフに胸が痛んだ。         前に、ヨフから聞いた事を思い出す…       皇子は、具合が良くなったアイルとヨフを…   二人の記憶を頼りに、母親方の遠い親戚の家まで送って行こうとした事があった…。     ふと、目に入った親子連れを目で追い…     互いに寄りそって、ぎゅっと…手を握りしめた二人を見て…。     そのまま二人を城まで連れて戻ってきたのだ。       『俺も、戦火で母親を亡くした。 俺が今日からお前達の兄だ。 …兄が居れば、寂しくあるまい?』       帰り際言った一言で… 寂しいと思わなくなった事を嬉しそうに、何度も話してくれた。         『…最高の兄様だ。』       ヨフもアイルも皇子を誇りに思っている。      
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!

690人が本棚に入れています
本棚に追加