‐序章‐

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      一面の白の中で、叫んだ声は…   ちゃんと、貴方まで届いたのでしょうか?     ただ‥ もう一度会いたい、と… 声を聞きたいと、願う事は‥ 愚かな事でしょうか?         泣きたい位綺麗で…    何より価値のある事を貴方に教わった。          心の中の貴方は、いつだって笑っているのに…     俺は、一年たった今も、笑えていません。   …情けない程、貴方が迎えに来るのを待ち望んでいます…。     お叱りになるでしょうね?         息は白く白く、空中に溶けて… 仰ぎ見る空からは、一筋の光も差さない。     まるで、今の自分の心のようで…       顔を突き刺す雪も…  唸りながら、まとわりつく風も…    まるで罰だった。           三年前、この道を通った時は…   あんなに‥ わくわくした気持ちで、心が満たされていたのに…         貴方はいつも、待っていてくれた。  どんな時も、信じていてくれた。       …それに、とても温かかった。          …もう‥ 手が届かない、俺の唯一無二の主。       主を亡くした俺が…  生きている事自体、罪だということは、承知の上で‥   それでも生きているのは…     それが、俺の罰だから…       誰も俺を責めない。  主を守れなかった愚かな俺を…      
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